2013年5月24日金曜日

『兵士はどこへ行った』


前回に引き続き、戦争がテーマの本です。

の装丁をしました。

世界各地の軍用墓地や追悼施設を調査した著者が、戦死者追悼の問題について書いたものです。 
この問題は各地でもあるようですが、日本では特に落ち着かないですね。

こちらも2枚の写真を手渡されました。
著者の撮影したスナップ写真で、画像の状態はあまり良くありません。
左隅の撮影日時を消しつつ、下の写真の墓石の漢字が見えるように
色と質感を調整していきました。
上下に並べて対比させることにしました。

太いケイ囲みは整然と並んだ墓地のイメージから。
繰り返すことでさらにそのイメージが強くなると思ったのですが、
カバーではくどくなるので表紙で展開しました。



カバーまわりはグリーン系でまとめました。

カバー:ミルトGAスピリット
表 紙:エコジャパンR/ゆき
別丁扉:エコジャパンR/ゆき
見返し:OKフロート/こげちゃ
オ ビ:OKミューズコットン/しろ




2013年5月16日木曜日

『20世紀の戦争』



こちらは昨年刊行の本で、メトロポリタン史学会=編『20世紀の戦争 その歴史的位相』(有志舎)です。

ふたつの写真を使ってほしいと渡されました。
ひとつは第一次世界大戦のガスマスクをしたオーストラリア軍。
もうひとつは20世紀終わり頃の、海上自衛隊とアメリカ海軍の日米合同演習。
20世紀初頭と終盤の戦争の様子です。

いくつかのレイアウトを試してみたのですが、正面から対比させる形に落ち着きました。
古いモノクロとカラーの写真を、バックの色使いでなじませました。

オビはキャッチコピーに合わせ、戦争の生々しさを表すために
荒々しい風合いのレザック82ろうけつを。


中東をはじめ、いつ戦争が始まってもおかしくない地域は未だに多く、
どこかの市長は居酒屋談義のような発言で周辺諸国を刺激しています。
残念ながら、戦争の時代はまだまだ過ぎ去ろうとしない!ようです。

カバー:サンシオン/ハイホワイト
表 紙:アラベール/ラベンダー
別丁扉:サイタン/ホワイト
見返し:アラベール/ラベンダー
オ ビ:レザック82ろうけつ/白

2013年5月13日月曜日

『プロならその保険入りません!』


新書の装丁をしました。
藤川太=著『プロならその保険入りません!』(洋泉社新書y)

保険の選び方を指南してくれる本です。
タイトルにインパクトがあるのできっちり見せつつ
だけど、絵としてはスッキリ分かりやすく。
通行止めのマークとピクトグラムで作りました。

このほかにも、非常口に入ろうとしている人を引き止めるパターンとか
通せんぼしているパターンなど、考えました。
調子に乗ってだんだん複雑になっていって
かえってわかりにくくなったりして、良くないんですけど。

2013年5月7日火曜日

『みんなで考える家族・家庭支援論』


草野いづみ=編著ほか『みんなで考える家族・家庭支援論』(同文書院)の装丁です。

保育を学ぶ人(多くは保育士を目指す若い女性)のために書かれた本です。

保育と言っても子どもだけを見ていればよいわけではなく、親を含む家族のことも視野に入れる必要がありますが、どうしても自分のまわりのこと中心の知識に偏りがち。いろんな形の家族・家庭があることを知ってほしい…
なるべく手にとりやすい、優しい雰囲気に、ということでオレンジの地色に家族をイメージしたイラストを入れました。
(イラストは素材を加工して作成)

ボールを転がしたようなイメージは、先に出来上がっていた本文デザインを意識しました。(本文デザインは別の方です)


あまり重い色を使わず、パステル系の明るく落ち着いた装丁をめざし、ねらい通りキレイに仕上がりました。

28名分の著者名は、スラッシュ区切りなどでひとかたまりに見せたくないということで、改行してタテに並べ、なるべく一人ひとりがはっきり見えるようにしました。