2014年7月28日月曜日

「本と珈琲」


更新がだいぶ開いてしまいました。
今回お知らせする「本と珈琲」展の準備もありまして。

「本と珈琲」は
6人のブックデザイナーによる珈琲の本の装丁展です
珈琲を楽しむための本を集めた《書店》サイドと
珈琲とともに本を味わってもらえる《喫茶》サイドの
2カ所で開催いたします

昨年開催した「本と旅」展から、今回はコーヒーをテーマに変えて
8月1日より装丁展を行います。
昨年までの会場オーパ・ギャラリーにくわえて
今回は渋谷の「ウィリアム モリス」でも開催いたします。

詳細はこちらへ→本と珈琲
フェイスブックページもあります→本と珈琲フェイスブックページ

みなさま、どうぞお越し下さい!

***
8月10日追記

「本と珈琲<書店>」はおかげさまで無事終了いたしました。
ありがとうございました。

8月19日追記
「本と珈琲<喫茶>」は19日より再開いたしました。
28日(木)まで。24日(日)、25日(月)お休みです。

ウィリアム モリス 珈琲&ギャラリー
東京都渋谷区渋谷1-6-4 The Neat青山2F
TEL.03-5466-3717

2014年5月28日水曜日

『ARMマイコンではじめる電子工作』


鳥海佳孝=著『ARMマイコンではじめる電子工作』(技術評論社)
の装丁を担当しました。

こちらは電子工作初心者のための本です。
そもそも電子工作の知識がなかったので、編集者の方にいろいろ説明を受けているうちに
「こんなデザインがいいんじゃないか」とか
「それなら、こんなイラストがいいんじゃないか」と
いろいろアイデアが出てきて、その場で方向がいくつかに絞られました。

イラストは何度かご一緒したことのある、ぽるかの村山宇希さん。
気軽に電子工作に取り組めそうな雰囲気を出してもらい
いくつか試してみて、この装丁になりました。
「今ドキの電子工作」はスマホを使った遠隔操作が簡単にできる
ということで、それを絵にしました。

今ドキじゃない電子工作はどうだったのかというと、
トランジスタやコンデンサなどの電子部品をハンダ付けして
ラジオを聞いたりオルゴールをならしたり。
最終的に組み上がってLEDがチカッと光るのを「Lチカ」と
いうそうなんですが、昔はそれだけでたまらなく嬉しかったそうです。
それがいまや「Lチカ見せても感動しない」と、工業高校の先生は言うそうです。平成生まれにとっては、ケータイも液晶TVもPCも最初からあったわけで
すからね…
なので、スマホやタブレットを使って離れたところからライトをつけたり
音楽をならしたりするようなところからはじめるのだとか。
応用できるようになると、自宅に感知センサー付のカメラを作って、映像をスマホに飛ばすといったようなことができるらしいですよ。
いまからでも電子工作に興味を持った方は、ぜひご一読ください!

2014年5月15日木曜日

『世界を動かす ケネディが求めた平和への道』


こちらは5月に刊行されたジェフリー・サックス=著、櫻井祐子=訳『世界を動かす ケネディが求めた平和への道』(早川書房)です。
装丁と本文フォーマットを担当しました。

著者は『貧困の終焉』のジェフリー・サックス教授。
アフリカの貧困支援で著名なサックス教授が、「私たちはケネディの思想と行動から多くを学べる」と、JFKの遺した理念を今に生かす方策を力強く訴える…という内容です。

ケネディ本人ではなく彼の演説に焦点が当てられた本なので
『世界を動かす』というタイトルに対して、
ベタですが地球のモチーフを使いました。


別丁扉にはオビとは別に、本書で取り上げた
1963年6月10日のアメリカン大学での演説時の写真を掲載しました。


表紙は細かいエンボスのあるミニッツGAを使用。
軽くザラッとした手触りで、近づいて見るとエンボスが分かります。


巻末にはケネディの4つの演説の原文と対訳が掲載されています。
少し長いですが、印象的なケネディの演説の一部を下記に掲載します。

ケネディ大統領による「平和のための戦略」演説(1963年6月10日、於・アメリカン大学)より。

「世界平和は、地域社会の平和と同じで、一人ひとりが隣人を愛さなくてはならないというものではありません。ただお互いのことを受け入れながらともに暮らし、争いを公平かつ平和的に解決すればよいのです。国家間の確執は、個人間の反目と同じで、永遠に続くものでないことを、歴史は教えています。……
どのような政府や社会制度であれ、それがどんなに邪悪だったとしても、そのもとで暮らす国民までが徳に欠けていると見なすべきではありません。……
つきつめれば、私たちを結びつけている、何よりも基本的な共通のつながりは、誰もがこの小さな惑星に暮らしているということなのです。誰もが同じ空気を吸って生きています。誰もが子どもたちの将来を気にかけています。そして誰もが死すべき運命にあるのです」(全文は本書巻末を参照)

平和について考えるとき、ぜひ本書もご一緒に。

カバー:ヴァンヌーボVG/スノーホワイト
表 紙:ミニッツGA/スノーホワイト
別丁扉:ミニッツGA/スノーホワイト
見返し:エコジャパンR/藍
オ ビ:コート紙

2014年5月1日木曜日

『2014年版U-CANの旅行業務取扱管理者』シリーズ


『2014年版U-CANの旅行業務取扱管理者』シリーズ(U-CAN)が刊行になりました。
こちらは2012年から装丁させていただいています。
以前の装丁については、こちらから。

売れ行きもななかなかよいということで、
今回も基本的には同じデザインで、前年度版と違いが分かるようにマイナーチェンジをしています。

メインカラーをチェンジして、白地の部分にはボーダーを敷いています。
べったりしないように2色で変化を付けています。
そしてなんといっても、年度表記部分ははっきりと変化を。


アマゾンで、旅行業務取扱管理者関連の書籍では、1位・2位!
前年度版もトップ10にランクインしています。

2014年4月28日月曜日

『仁政イデオロギーとアイヌと統治』


こちらはアイヌの歴史に関する学術書です。
檜皮瑞樹=著『仁政イデオロギーとアイヌと統治』(有志舎)

表1で使用したいと渡された画像は、Web用でかなりデータ小さめ。
すこし荒らした風合いにして、なんとか3倍の大きさで使えるようにしました。

カバーはスミと赤の2色。


タッセルGAというエンボスのはっきりした用紙を使用。
PPをかけていますが、近くで見るとかなりはっきりエンボスが見えます。


カバー:タッセルGA/スノーホワイト *マットPP加工
表 紙:アラベール/アッシュグレー
別丁扉:タント/R-11
見返し:ビオトープGA-FS/マロン
オ ビ:コート紙


2014年4月23日水曜日

『マイノリティの社会参加 障害者と多様なリテラシー』


こちらの装丁を担当しました。
佐々木倫子=編『マイノリティの社会参加 障害者と多様なリテラシー(リテラシーズ叢書3)』(くろしお出版)

A5判並製。
オレンジの部分は「L」を表しています。
「リテラシーズ叢書」の「L」です。
 

他の書籍はというと、こんな感じ。


基本レイアウトが同じで、色で変化をつけています。

色ベタ・タイトル白抜きでずっと来ましたが
『マイノリティ〜』は視力の弱い方への配慮から
白地にスミ文字という強いコントラストの配色にしました。


2014年4月16日水曜日

『フランスの肖像 歴史・政治・思想』



こちらは3月刊行のミシェル・ヴィノック=著、大嶋厚=訳『フランスの肖像 歴史・政治・思想』(吉田書店)です。

フランスの歴史家である著者が
「フランスについて、簡単に説明していただけますか」と外国の学生から
質問されたことがきっかけで書いた「フランス入門書」です。
タイトル通り、フランスの歴史、政治、思想について解説されています。

カバーの画像はフランス革命期のポスター。
装丁は落ち着いたテイストで、と注文があり
ベージュとブラウンを基調にしたデザインにまとめました。
ポスターにトリコロールカラーがあるので
他の色はほとんど使ってません。


4/13の毎日新聞の書評に取り上げられ、アマゾンでは一時品切れになっていました。
フランスの歴史に興味のある方は、ぜひ!

同じ吉田書店の『憎むのでもなく、許すのでもなく――ユダヤ人一斉検挙の夜』も、同日に朝日新聞書評に取り上げられ、ヨーロッパ史関連ではふたつとも20位以内にランクインしていました。


カバー:MTA+FS
オ ビ:コート紙
表 紙:アラベール/ナチュラル
見返し:エコラシャ/ひはだ

2014年4月14日月曜日

『貧困の終焉 2025年までに世界を変える』


こちらは4月に刊行になった
ジェフリー・サックス=著、鈴木主税・野中邦子=訳『貧困の終焉 2025年までに世界を変える』(早川ノンフィクション文庫)です。

2006年の単行本が文庫になりました。
その装丁も担当しましたが、
今回は少し装丁の方向性が変りました。

こちら単行本。四六判上製。


貧困問題や経済開発などのテーマからすると、軽い装丁になっています。
「2025年までに世界を変える」とサブタイトルにあるとおり
貧困をなくすための方策が書かれた希望に満ちた本なのですが、
若いひとにさけられないように、あまり難しそうに見えないように
という意味がありました。
パールインキや、明るめの色使いで軽さを出しました。
ややいかついメインタイトルよりも、サブタイトルを目立たせています。
オビには、序文を書いたU2のボノの写真も入りました。
うれしいことに版を重ね今回、文庫になりました。

今回の文庫の方は、内容をはっきり伝えるためタイトルは大きく、
単行本のときの軽さは軽減させました。
背景のドットの地図は踏襲しています。


640ページ、1300円(+税)と、文庫としては軽くありませんが
学生さんなどには手に取りやすくなったと思います。
貧困問題、グローバリゼーションなどに興味のある方も、ぜひ!

2014年3月31日月曜日

『循環器ナースが知っておきたい心電図と心臓カテーテル 15の落とし穴』



2013年末と少し前になりますが
高橋玲比古=著、齋藤滋=監修『循環器ナースが知っておきたい心電図と心臓カテーテル 15の落とし穴』(照林社)
の装丁を担当しました。

タイトル通り循環器ナースに向けた本。
Q&A形式でわかりやすく、実践的内容…だそうです。
(専門的なことでよくわからず)


最初はイラストを使用した柔らかめの装丁の予定でしたが
ビギナーではなく中級者ナース向けで、内容もしっかり伝えたいということで
心臓カテーテルの写真を使い少し堅めの方向になりました。
写真はグレーだったので明るめの色をつけ、薄く模様を入れるなどして
暗い雰囲気にならないように。
サブタイトルまで入れるとかなり長いタイトルになるので
文字のバランスに気を配りました。

表紙は2色。
こういう本は現場で邪魔にならないようにカバーを取ることも多いので
表紙も大事です。




中は石川ともこさんの柔らかいイラストで、確かにわかりやすそう。


15の項目も覚えやすそうです。





2014年3月29日土曜日

『中国語成語ハンドブック』


こちらは3月に刊行された
沈国威・紅粉芳惠+関西大学中国語教材研究会編『中国語成語ハンドブック』(白水社)です。

「成語」とは日本語で言う四字熟語のようなもの。
中国語学習の中級者向けの本ですね。
初心者向けではないですが、重厚ではなく少し明るい雰囲気に仕上げました。

カバーはシンプルにコート紙+マットPP加工ですが
表紙は皮模様の紙クロス、シルビーヌ/LAMです。
クロスの風合いで、カバーを外してもヨゴレを気にせず使えます。


見返しは、色上質/桜でちょっとかわいく。
春だし。


2014年3月27日木曜日

『福助戦記』


久しぶりの更新です。だいぶ時間が開いてしまいました。

先日、藤巻幸夫さんが亡くなりました。
54歳だったそうです。
伊勢丹や福助で発揮した手腕で日本の文化を海外に売り込むなど、政治家としてこれから活躍が期待されるところだったのに、悔やまれます。

その福助時代のことを書いた本を、以前装丁しました。
「福助戦記」編集委員会=編『福助戦記』(ゴマブックス)

2003年、民事再生法の適用を受けた福助株式会社に乗り込んだ川島隆明氏と藤巻幸夫氏。
ふたりがわずか1年で福助を変革し、見違えるように再生するまでを描いた「戦記」です。

福助のマークを大きくあしらい、UV加工も施してタイトルよりも目立たせています。

2005年刊行で、白いカバーもやけてしまいました。
残念ながら現在は古書としてしか入手できません。

藤巻幸夫氏のご冥福をお祈りします。


2014年1月29日水曜日

『平和構築へのアプローチ』


こちらの本は装丁を担当した、
伊東孝之=監修、広瀬佳一・湯浅剛=編『平和構築へのアプローチ』(吉田書店)です。
紛争と平和構築に関する研究書です。

A5判で440ページのボリューム感、3,800円+税という定価を考え
あまり軽い感じではなく、それなりに落ち着きのある装丁を考えました。
といっても、重苦しいのもよくないので、
グラデーションと白い切り込みのデザインで構成しました。

色は当初、ブルーと黒のグラデーションだったのですが、編集者の希望により
グレーでまとめることになりました。

カバーの用紙はハンマートーン。
ハンマーで打ちつけたようなデコボコ感が特徴です。
単調になりがちなグレーのデザインに、
このデコボコで複雑なニュアンスを与えようと考えました。
さらにグレー部分の右側には、石のような点々をデザインしました。


カバー:ハンマートーンGA/スノーホワイト *グロスニス加工
表 紙:アヴィオン/ホワイト
見返し:タント/S-5(グレー)
オ ビ:コート紙

http://www.amazon.co.jp/平和構築へのアプローチ――ユーラシア紛争研究の最前線-広瀬佳一/dp/4905497183/

2014年1月27日月曜日

『新人を1か月で即戦力に変える教科書』


水野元気=著『新人を1か月で即戦力に変える教科書』(総合法令出版)の装丁を担当しました。

スミと赤、2色です。
最近、スミ文字が中心のものとか
ブルー系のビジネス書が多いけど
スミ+赤は少ないんじゃないですか?
というわけでベタな案です。

カバーもオビもわかりやすく2色!
赤はDIC198!

ついでに使ったフォントは「1か月」の「1」をのぞいて、
ぜんぶゴシックMB101/DB!
どうだ、わかりやすいでしょう!
(「1」はFutura)

「▶」の連続モチーフで「即戦力に変える」イメージを。



表紙も赤!
インクはDIC2510ですけど。
見返しは、タントの薄いグレーぽいやつ。


カバー:コート紙 *グロスPP加工
表 紙:アヴィオン/ハイホワイト
見返し:タント/P-70
オ ビ:コート紙 *グロスPP加工

2014年1月8日水曜日

『戦後史のなかの象徴天皇制』


こちらは昨年11月に刊行された河西秀哉=編著『戦後史のなかの象徴天皇制』(吉田書店)です。
文字通り象徴天皇制に関する研究書です。

装丁としては、なんといってもカバーに使う写真の存在感が大きく、それを生かすことが重要でした。
1946年に戦後巡幸(初めて使う言葉です)された昭和天皇と庶民の写真。
帽子をとる昭和天皇と、お辞儀するしながら視線をかわす男性。
戦前だったらこういうシーンは、なさそうですね。
鮮明な写真だったので、なるべく大きく使うようにしました。

表4は、2009年に即位20年をお祝いする国民式典での写真で
こうしたシーンではふつうなら正面下からの絵がおなじみですが
背後からのショットが新鮮です。
こちらも表1と同じ大きさで使用しました。

時代の離れたふたつの写真を使ったことで、戦後という時間の幅を感じてもらえるかと思います。



カバー:MTA+-FS *グロスニス加工
表 紙:アラベール/プリムローズ
別丁扉:TS-1/N-7
見返し:STカバー/びわ
オ ビ:コート紙