2013年6月28日金曜日

『サントリー 知られざる研究開発力』


前回につづき、これまた2006年と少し前の本ですが…
株つながりで思い出しました。


7月3日に売り出し、売り出し価格は1株あたり3100円。
これで3880億円の調達になるそうです。

サントリーといえば長らく非上場でしたが、
酒類ではなく食品とはいえ上場するというのは
大きな変化ですね。

この本は装丁を担当した
秋場良宣=著『サントリー 知られざる研究開発力』(ダイヤモンド社)


 サントリーと言えば、マーケティングや宣伝の力が際立ちますが
研究開発力もあるんですよ…という本。
主力だった洋酒が売れなくなって低迷期がありながら
その後、伊右衛門、BOSS、プレミアムモルツとヒットを飛ばしますが
その開発物語です。


カバーは文字だけでスッキリ見せ、おなじみの商品をオビにカラーで並べました。
ちょうど青いバラを開発したときだったので、それも一緒です。

打ち合わせでもらった名刺に使われていたさわやかなブルーを使いました。
ミントブルー? アクアブルー? とかいうですか。
スミとの2色。
サントリーのスマートさを考え、くどいデザインにしたくなかったので
オビもキン赤など派手な色は使っていません。
商品写真もあるし。


表紙もヨコラインイメージで、ピケのウォーターという用紙にしました。
今はもう廃番?ですかね。

カバー:ミニッツGA/スノーホワイト
表 紙:ピケ/ウォーター
オ ビ:コート紙
見返し:タント/N-1
別丁扉:新星物語/パウダー

2013年6月27日木曜日

『当てるコンテンツ 外すコンテンツ』


2001年に装丁した本です。
なぜいまごろ、持ち出したかというと、こんなニュースを目にしまして。

インデックスが民事再生申請

この会社、三軒茶屋のキャロットタワーに本社がありまして
毎朝天気の確認とともに目に入っていたのですが、こんなことになっていたとは。
iモードの 「恋愛の神様」とかいう占い(?)のコンテンツを当てて大きくなったようです。
タカラとバウリンガルを開発したのも、この会社らしいですね。
何が悪かったんでしょうか。

それはさておき、こんな本です。
落合 正美 、渡辺 和俊=著『当てるコンテンツ 外すコンテンツ』(東洋経済新報社)

コンテンツ開発についての本というより、インデックスという会社についての本です。

きつまきさんというイラストレーターに絵を描いてもらいました。
絵をイラレ化して、赤の背景はこちらで塗りました。
表4までぐるっと続きます。


ケータイのアンテナが伸びるヤツだったんだなあ…
12年前だから「10年ひとむかし」以上だし、
このご時世じゃあ「三むかし」くらいに感じますね。


2013年6月21日金曜日

『がんばれ! 銚子電鉄』



  ぬれ煎餅を買ってください!

  電車修理代を稼がなくちゃ、いけないんです。


銚子電鉄のサイトのトップページにこんな文字が掲載されたのは7年前です。
経営危機のローカル線が間近に迫った車両点検費用のために、
ぬれ煎餅を買ってほしいという、切実なメッセージでした。
一時けっこう盛り上がり、ぬれ煎餅のおかげで経営も立て直したように思っていたのですが、そう簡単ではなかったようです。

「銚子電鉄」経営危機 「ぬれ煎餅」頼りでは…運行に支障も
当時、銚子電鉄の社員の方の書いた本の装丁を担当しました。

向後功作=著『がんばれ! 銚子電鉄 ローカル鉄道とまちづくり』(日経BP社)

ぬれ煎餅騒動の顛末についての本ではあるのですが
銚子電鉄をまちづくりの中心にしたいという著者の考えも書かれています。

装丁のポイントは、なんといっても写真です。
鉄オタの方々にも目にとめてもらわないといけないので
「いい鉄道写真」とする必要がありました。
車体がはっきりと見えるようにする、
線路横の畑はポイントが高いのでトリミングしない、
電柱(?)もはずさない…など。

写真は自体はスナップ写真に近かったので、かなり色を修正しました。
車体の赤を鮮やかにしたり、畑や森を明るくしたり。
実際に見たときの印象に近づけられていたら、いいのですが。

東日本大震災の風評被害もあり、経営はかなり切羽詰まっているようですが
どうにかならないんですかね。
 北三陸鉄道みたいにミスコンってわけには
いかないでしょうけどもねえ…じぇじぇじぇ


2013年6月13日木曜日

『薔薇は生きてる』


近所のCOWBOOKSという古書店に行ったら、昭和の古い本に混じって自分の装丁した本が並んでいました。
ふつうなら古書店に並ぶのはあまり歓迎したくないけれど、COWBOOKSは価値のある本を丁寧に扱っているところなので、スタンダードな本と認められたような気持ちでちょっと嬉しかった
購入する人も丁寧に扱ってくれることでしょう。

山川彌千枝=著『薔薇は生きてる』(創英社)

大正時代に生まれ16歳で結核で亡くなった山川彌千枝の散文、短歌、日記、書簡などを収録。
戦前からこれまで何度も出版されていて、本書は2008年刊行で10度目になるようです。

それだけ山川彌千枝の作品世界は人を(特に文学少女を)魅きつける力があるのだと思います。

オビ文は緒川たまきさん。
穂村弘さん、川上未映子さん、千野帽子さんの解説文も収められています。



絵は中村佑介さん。
装丁するときには、編集者が発注した装画ができあがっていました。
どういうふうに使ってもらってもいい、ということでしたが、
やはり絵を最大限生かすようにしました。
昭和初期なのに窓の外に高層ビルがあるのがポイントですね。


デザインには関わっていませんが宣伝用ポストカードも作られました。


表紙は、カバーと同じく薄いピンクのイメージで、水玉を散りばめました。