2012年11月28日水曜日

『音声文法』


2011年3月刊行と少し前の本を紹介します。
杉藤美代子=編『音声文法』(くろしお出版)です。

なぜこの本をいまさら紹介するかと言えば、そいういえば思いがけずレトロでかわいらしいものができたことがあったなと、思い出したからというだけなんですが。

オビを外すとこんな感じ。




花や星がどこかにあったら、レトロポップな本に見えなくもない?

言語学の専門書で、私が分かりやすく説明することはできませんが
「音声」の本なので「話す人」のイメージがあってもいい、ということで横顔のシルエットを作ったのです。
女性向けの本ではもちろんないので、シルエットが女性に見えないように注意したつもりですが、右の茶色の角Rや色使いなど柔らかい雰囲気でそう見えるかも…?

欧文がかなり大きいのですが、そういうオーダーなのでした。

表4にもちょこっと。



まあジャケ買いされるような本では、ないんですけどね。

2012年11月22日木曜日

『誰もがイライラしたくないのに、なぜイライラしてしまうのか?』



11月刊行の新刊です。
ジョー・パルカ&フローラ・リクトマン =著、黒木 章人=訳『誰もがイライラしたくないのに、なぜイライラしてしまうのか?』(総合法令出版)
タイトルがいいですね。
つい内容を知りたくなってしまいます。

他人の携帯電話はなぜイライラするのか?
黒板をツメで引っかく音は?

そんなイライラをまじめに追求している本です。
トウガラシが最初は辛くても次第に美味しく感じてしまうような現象を
「良性マゾヒズム」というそうで、何となく気に入りました。
動物にはないらしい。
そりゃそうだ。

詳しくはこちらへ。

装丁へのオーダーは、まずはスッキリ明るめの色合いというもの。
イライラの追求というある意味軽妙なテーマですが
単なるトリビア本とはちがい、科学的に解析した本なので、
軽過ぎてもNG。

写真を加工して使用したのは、編集者さんの案。
いくつか写真を探し、組み合わせてみたりもしたのですが
この写真に落ち着きました。
頭上のぐるぐるっとした線はマウスで描きました。

タイトルは少しくだけた雰囲気にしたくて
フォントワークスのロダンNTLGというフォントを採用。




全体に赤/黄/白を中心にした軽めの色合いを
見返しの濃い紺色で引き締めました。

・カバー:コート紙
・サイタン/ハイホワイト/四六判Y目100kg
・表紙:アラベール/ホワイト
・見返し:サイタン/ネイビー
・別丁扉:エコジャパンR/たんぽぽ

これを読めばイライラすることがなくなる…
というわけではなさそうですが、少しは心に余裕ができるかも。
ぜひ!

2012年11月15日木曜日

『 子育て☆夢育て処方箋』


こちらは3月に刊行の菅原亜樹子・真船貴代子=著『子育て☆夢育て処方箋』( 明治書院)です。

若者たちが「夢」を抱き「明るい未来」を創り出せるように、様々な活動をしている「夢さがしプロジェクト」のおふたりが、子育てに悩むお母さん・お父さんに贈る“処方箋”として書いた本です。

前半は様々な世界のトップランナーたちの仕事・人生観と若者へのメッセージ。
羽生善治・織作峰子・北嶋康介・坂本龍一など有名人から、看護士、CMプランナー、翻訳家など多様な人選です。

後半は夢さがしプロジェクトの講演会やワークショップなどの活動の紹介と、子育ての悩みへの処方箋という構成。
「職業人なりきりインタビューゲーム」というユニークな活動もありました。


装丁への要望は「子育て中の若い母親が手にしても恥ずかしくないようなオシャレなカバー」というもの。
でも、スタイリッシュで親しみがわかなくてもダメだし、はじけ過ぎて誠実さが感じられなくてもダメと、けっこうむずかしい。

読者層は30〜40代の女性が中心ということで
その年代向けの女性誌を見てみました。

そして考えました…ピンクだろうやっぱり。

で、ピンクと、処方箋をイメージした四角をキーにデザインができました。


できれば女性誌の表紙のようにマゼンタだけ特色を使いたかったのですが、折り返しに著者のカラー写真があり断念しました。
(特色が人物写真に影響を与えるため。5色は予算的にナシで)

でもこれはこれで落ち着いた感じで子育て本にはよかったかも。

本文デザインも全面的に作りました。
処方箋アイコンは、ただの四角い紙みたいになってしまいましたが。






2012年11月8日木曜日

『ITパスポート合格講座』


矢沢久雄 =監修、日経パソコン=編集『ITパスポート合格講座』(日経BP社)
の装丁を担当しました。

こちらは昨年、一昨年と刊行されていた同様の本のリニューアル版。
ITパスポートはこの系統の中では一番難易度の低い試験で、受験する人も学生や若い人が多く、優しく分かりやすそうなイメージを強調することになりました。

カバーまわりだけでなく本文デザインも担当しています。
前2作もカバーを担当したのですが、今回はキャラクターのカンガルーも含めて一新しようということになりました。

というわけで、カンガルーの新キャラをイラストレーターの村山宇希さんに作ってもらいました。
元のキャラはかわいく優しいイメージでしたが、今回はちょっと脱力系なガルーにしてもらいました。

本文中でも登場します。


本を持つガルーが気に入っています。


カバーにはあまり情報を盛り込まずスッキリと。
ガルー親子とポケットのイメージで作りました。
本文用紙や2色の刷色を前回と変えるなど、より気軽なイメージになっています。
ITパスポート試験を目指す方、この本で合格に突き進んでください!

2012年11月1日木曜日

『神は数学者か?』


こちらは1年ほど前に刊行されたものですが、
マリオ・リヴィオ=著『神は数学者か?』(早川書房)です。

ポピュラー・サイエンスと呼ばれる分野の本で、
数学は人間が作り出したものなのになぜこんなにいろんな現象を説明できるのか、宇宙はまるで数学者が作ったんじゃないか…というようなことが書かれています。
原題もそのまま「Is God A Mathematician ?」

編集者のアイデアで、ウィリアム・ブレイクの『ニュートン』の絵をトリミングして使いました。

「神」ということで表1に十字を作り、そこにタイトルを載せました。
タイトルの並び方に一瞬「ん?」となるでしょうか。
ま、でも読めるでしょ?
(ヨコ組5行のタイトルと思ってください)

背も少しだけ十字に見えるようになっています。
さすがにこっちのタイトルは表1と同じ並びにはできなかった…


カバー:ヴァンヌーボVG/スノーホワイト *艶ニス加工
オ ビ:コート紙
表 紙:アラベール/ウルトラホワイト
別丁扉:タントセレクトTS-7/N-8
見返し:アラベール/スレートブルー

この著者の本を担当するのは3冊目で、
過去の2冊も同じくポピュラー・サイエンスの本でした。


最初の『黄金比はすべてを美しくするか?』がこの分野としてはヒットとなり何度か増刷されました。
現在は文庫も出ています。(文庫の装丁は担当ではありません)



展示「カンテンブックス」

タンバリンギャラリーで開催中(〜11/4まで)の展示「カンテンブックス」に行きました。


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こちらはグループ展で、空想書店という設定で6人のイラストレーターが自分の絵で作った本を並べています。それぞれ自分が好きな分野の本を、自分たちで装丁までしています。手書きのタイトルなどを見ていると、こちらも熱が伝わってきます。
書皮があったりして書店らしさを演出しているところもナイスです。

当番をしていた古谷充子さんが作ったのはこけしの本。
彼女がこけしを見に足を運んだのは、私の故郷秋田県(&山形、福島)。
ものすごく話が通じてびっくり!

そこに両親が秋田出身というギャラリーオーナーが加わり、さらに山形生まれの青山タルトさんが現れ、すっかり東北濃度が上がり話が盛り上がりました。

書皮セットと、古谷さんのこけしを中心にした東北紀行の冊子を購入しました。


展示:那須慶子個展「MUSICIANS」

最近見た展示です。
那須慶子個展「MUSICIANS」(HBギャラリー)。

60〜90年代のロックミュージシャンのポートレイトが那須さんのキレイなタッチで並んでいました。


デヴィッド・ボウイを中心としたツリーの絵があり、那須さんがすべてを説明してくれて、なんだかロックの先生みたい。
(80年代の音楽はあまりお気に召さないようで、そのあたりがないのが個人的には残念なのですが)



那須さんのロック愛(特にボウイ愛)が伝わってきて嬉しくなりました。
自分もファンなので、昔の雑誌など引っ張り出して見せびらかしました^^

ボウイの絵が1点しかなかったのでもっとあればいいのに、とか
ポートレイトだけじゃなくてなにかロックを表現したものも見てみたい、とか
いろいろわがままを言いたくなるのも、熱が伝わってくるからかな。
次回を楽しみにしています!