2012年9月28日金曜日

「日本語文法学会」ポスター


たまには装丁以外の仕事もしています。

こちらは10月に開催される日本語文法学会の告知ポスターです。
毎年この時期に開催されていますが、ここ4年ほどポスターをデザインさせていただいています。

きちんとスケジュールを読んでもらわなくてはいけないのでそこは押さえつつ、毎回背景などで変化をつけています。
今回はいくつか画像を重ね合わせたりぼかしたりしながら、あれこれやっているうちにまとまりました。

毎回思うのですが、こういう専門分野のテーマは外から見ると不思議な感じのものが多いですね。

『「タイ料理はおいしくて、辛い」はなぜ不自然か』

そりゃもっとおいしい店に行った方がいいですよ…
って、文法の話ですか。

「子どものための『ケータイ』ルールブック」


目代純平=著「子どものための『ケータイ』ルールブック」(総合法令出版)の装丁を担当しました。

iPhone5も発売になりましたが、ケータイはもはや電話というよりもパソコンですね。
子どもにケータイを持たせる親も多いと思いますが、便利なツールもネットいじめや高額請求など危険もいっぱいです。
この本はケータイに潜む危険と、それに対処して子どもを守る方法について書かれた本です。

子どもとケータイについては、社会学的な本や研究者が書いた本が多く、子どもを持つ親の不安に応えるようなものは少ないようです。
この本はまさにそうしたタイプの本で、それをはっきりと表すために子どものイラストをあしらい、優しく手にとりやすい雰囲気にしあげました。

イラストは編集者のオーダーで佐藤明日香さん。
少し年長の中学生くらいの絵も描いてもらったのですが、こちらが採用。
ラフでは少しくすんだ色使いだったのですが、明るくすっきりとした色に修正してもらいました。

今回はカバー以外の用紙をエコジャパンRでまとめました。

カバー:MTA+ -FS *マットPP加工
オ ビ:エコジャパンR/雪
表 紙:エコジャパンR/雪
見返し:エコジャパンR/うすくさ

2012年9月24日月曜日

『まるごと一冊! 東京の地名の由来』


こちらは装丁を担当した、刊行されたばかりの
浅井建爾=監修『まるごと一冊! 東京の地名の由来』(自由国民社)です。

タイトル通り東京の地名の由来について書かれた本。
地名のトリビアだけではなく、付近の見所や、地名の由来にちなんだ場所の案内が載っています。

中高年の男性中心の「歴史マニア」向けではなく、散策を楽しみながら歴史に親しむライトユーザー(?)層に向けた作りです。散策の途中でも見やすく明るい本文レイアウト地名ごとに細かく分かれ、地図や写真も豊富です。(今回、本文デザインは担当ではありません)
さわりだけ書かれている地名の由来も多いですが、そのほうが気軽に読めていいです。
詳しく知りたくなったら調べる方法はいくらでもあるし。

すごいと思ったのは、東京のすべての市町村のことが書かれていること。
23区や多摩地域だけでなく、小笠原など島についても載っています。

自分の街の近くのことも早速見てみました。
三軒茶屋の由来は有名なので特に驚きはないのですが、用賀は「ヨガ」から、代田は「ダイダラボッチ」と関係しているとは!

そのほか難読の地名など、地理や地名に関するコラムもあって楽しめます。




装丁も歴史マニア向けの重厚さは排し、女性も手に取りやすい明るい雰囲気に仕上げました。
「東京」といえば…ということで浅草寺の写真をカバーに使用。
東京タワーというのもいいのですが、スカイツリーができましたからね…
オビは付けずにキャッチコピーなどはカバーに刷り込みました。

東京に住む人にはもちろん、地名にちょっとだけ興味のある人にも楽しめる本です。
散歩のお供にぜひどうぞ!


2012年9月23日日曜日

『課長は絶対「いい人」になってはいけない! 』



内田和俊=著『課長は絶対「いい人」になってはいけない! 』(すばる舎)の装丁と本文デザインを担当しました。

タイトルだけ見るとちょっと過激ですが、「しかる・ほめるを上手に使いわけるストレスフリーの部下マネジメント」というサブタイトルで分かりやすくなります。
優柔不断で八方美人の「いい人課長」ではなく、必要ならば辛口なことも言う「悪人課長」(部下にとっては)を目指すという本です。悪人課長はあえて悪人になる「偽悪課長」なのですが、比較のために本当にダメダメな「性悪課長」というのも登場します。

装丁は、濃いめの紺色のオビの背を高くして、外したときにスッキリしたブルーグレーのカバーが見えるようになります。



装画は「没ラフ園」というサイトで知ったサタケシュンスケさんに依頼しました。
どちらかというと普段はカワイイ絵を描く方なのですが、
『心理学者が教える 思いどおりに人を動かすブラック文章術』の装画を見て、悪人課長を描いてもらおうと決めました。

最近は管理職の年齢が下がっているそうで、課長といっても30代から40歳そこそこのイメージです。昔の管理職イメージとはかなり違うんですね…
何パターンもラフを見せてもらった中から、こちらの絵が採用になりました。




2012年9月19日水曜日

『ことばの習得』


こちらは鈴木孝明/白畑知彦=著『ことばの習得』(くろしお出版)。
母語獲得と第二言語習得についての言語学の本です。

担当編集の方は『ディスコース』と同じです。
『ディスコース』のときに「やや暗め」「やや明るめ」の2パターンのラフ案を作り、「やや暗め」案が採用になったのですが、
担当の方が「やや明るめ」案も捨てがたい…しかも同時進行していた『ことばの習得』のイメージにピッタリ!
ということで、こちらで採用になったのです。

「2案提出して、2案採用」
奇跡です!

場合によっては決まるまで10案以上のラフを作ることもあるのに…
あ、こちらの版元は私の装丁を気に入ってくださることが多く、そんなことはありませんが。


いくつかのテクスチャーと色面を重ねて作ったものを地紋として使っています。
背文字部分は始め四角く白抜きにして入れていたのですが、表1のイメージに合わせて少し工夫してみました。



2012年9月18日火曜日

『ディスコースを分析する 』


今年の春頃の書籍で、ノーマン・フェアクラフ=著『ディスコースを分析する』(くろしお出版)の装丁を担当しました。

社会学の本で「社会批判を志す全ての人におくる、批判的ディスコース分析の実践的入門書。多様な例の分析を通して、具体的な方法が身につく」というものだそうです。(オビ丸写しです…)

正直、内容的には難しいのですが、装丁も内容を表すというよりも(表しづらいというのもありますが)、少し堅め・重めなイメージで、専門書としての「信頼感」を目指しました。
その中でも「やや暗め」「やや明るめ」の2パターン作ってみてほしいというオーダーでした。

手元にちょうどいい雰囲気の重量感のあるテクスチャーの画像があったので、それを使用した「やや暗め」パターンが採用になりました。
表4では全体が見えます。こんな感じです。


この装丁には、「ひと粒で二度美味しい」エピソードがありまして…
それはこちらで。


2012年9月14日金曜日

『本物よりも本物らしい「超パーツ式」似顔絵入門


こちらは小河原智子=著『本物よりも本物らしい「超パーツ式」似顔絵入門』(KKベストセラーズ)です。
この方の本はこれで4冊めの担当です。

「目・鼻などのポジションさえ間違わなければ似た似顔絵が描ける」というポジション式似顔絵を提唱していた著者が、今度は「超パーツ式」という似顔絵術を提案しました。
目立つパーツをとことん追求することで本物よりも本物らしい似顔絵が描ける、というものです。

カバーには『テルマエ・ロマエ』の阿部寛、ももクロ、所ジョージの似顔絵を載せました。

こちらはオビを外したところ。


下は、オビ裏。
超パーツ式での実際です。かなりデフォルメされてますね。


『知ればなるほど! 韓国時代劇ドラマ検定』


中国の次は韓国…
というわけではないけど、網谷 雅幸/別当 律子=著、 武井 一=監修
『知ればなるほど! 韓国時代劇ドラマ検定』(オークラ出版)の装丁です。

韓国ドラマについては詳しくないのですが、時代劇が特に人気だそうで、この本はクイズ形式の「検定」という形で楽しんでもらおうというものです。
「ドラマ編」「歴史編」「俳優編」「文化・言葉編」と分かれていて、初級から超難問まであります。何も知らない私にとってはすべてが超難問でしたが。

装画は石井三捺さんにお願いしました。
韓国時代劇ファンがぱっと見て「あのドラマだ!」と分かってもらえるよう、リアルに描いてもらいました。紋様など細かいところもあるので、かなり大変な作業だったと思います。

この本は本文DTPも担当しました。
左ページに問題があり、その裏ページに解答と解説があるいう作りです。
解答が裏抜けしないように、問題ページの枠が解答の文字の裏に重なるようにしました。


2012年9月13日木曜日

『すぐに使える中国人との実践交渉術』



吉村章=著『すぐに使える中国人との実践交渉術』(総合法令出版)の装丁を担当しました。(写真左)

台湾や中国での豊富なビジネスコーディネートの経験を元に、中国人とのビジネスでの付き合いや交渉などをノウハウ化したもので、最初の『すぐに役立つ中国人とうまくつきあう実践テクニック』が好評を博し3冊目まで刊行されました。

写真右の1冊目のときは「中国本といえば赤」というパターンが多かったので、それを少し外しつつ、でもほかの色のイメージが強くならないようにという方向で作りました。
タイトル下のラインは握手をイメージしています。習慣や考え方を知って中国とうまくつきあおうという意味が込められています。
5本のラインでできていますが、最初は3本ラインでした。編集者に「3本を5本にすればより『握手』に見えない?」
実は握手のつもりはなく、「つきあう/つながる」イメージとして入れていただけなのですが…

3冊とも根本的なテーマは同じですが、シリーズとして見られると逆に2冊目、3冊目の売れ行きが落ちるということで、あえて別の本として装丁しています。でも、全く別の人の本に見えると今度は書店員に並売してもらいにくくなるということもあり、ふんわりと同じ空気にしてほしいというオーダーもあり…

そんなこんなで、これが空港の書店などで売れ(ビジネスマンが出張のときに購入)『交渉術』まで続いています。
1冊目のオビ、2冊目のオビ、3冊目のオビと、だんだん著者が自信に満ちてくるのがおわかりでしょうか^^