2015年3月26日木曜日

『イラスト大好き! かんたん、かわいい! ボールペン手帳イラスト レッスン帖』


こちらは1月に刊行された
竹永絵里愛川空=著『イラスト大好き!かんたん、かわいい! ボールペン手帳イラスト レッスン帖』(コスミック出版)です。

『手帳にボールペンでイラストを描く』をメインテーマにした、ボールペンイラストの描き方本です。
カバーまわりだけでなく本文DTPも担当しています。

この本はまず企画ありきで始まっています。
著者がいて本を作る、ではなく、この本を誰かに書いてもらおう
という風に。

まずは著者探しです。
編集者から「誰かいいイラストレーターさんはいないか」とたずねられたときに
すぐには誰のことも思い浮かびませんでした。
知り合いにイラストレーターがおおぜいいるにもかかわらず。
イラストレーターは絵が上手で個性を競っている人がほとんどです。
でもこの本は絵の上手な人向けではなく、ふつうの人に向けて
見本となる簡単な(ふうに見える)絵をたくさん描いてもらうことになります。
そういう絵柄で仕事をしているひとは(知り合いには)あまりいませんでした。

そこでFacebookやTwitterで募ってみたところ、たくさんの反応が!
見本を見せてもらうと、みなさん見事にマッチする絵を描いてくれるのです。
プロのイラストレーターは柔軟に対応できるのですね。さすがです。

その中の何人かにしぼり、最終的には編集者に決めてもらいました。
そうして竹永絵里さんと愛川空さんが選ばれたわけですが
なんとこのふたりは、以前からの友人同士だったということが!
絵柄で決めたはずですが、そんなこともあるんですね。
はからずもな展開ですが、絵のわりふりや撮影の段取りなど
コミュニケーションもスムーズで、安心して任せられてよかったと思います。

そういうわけで私も関わるところが多く、思い入れのある作品になりました。
それほどページ数の多い本ではありませんが
イラストのアイテムが細かくレイアウトもページごとに変わるので
デザインワークもパワーを使いました。
ふだんあまりやらない女子っぽいデザイン、というところにも
かなりパワーを使わされましたが。



自画像というわけではないんですが、いろいろ描いてもらった中に
竹永さんと愛川さんのキャラクターみたいな絵があったので、
カバーでもちょこっと使ってみました。


この本では、カバーまわり、本文含め全体で2種類のフォントしか使っていません。(和文のみ/欧文を含めると3種類)

タイトルに使った、iroha gothic 「iroha 22momi」と
同じくオレンジ囲み部分の「ヒラギノUD丸ゴシック」です。
ヒラギノUD丸ゴシックのほうは、W4とW6のふたつのウエイトを使っています。
iroha 22momiは1ウエイトしかないので、タイトルなど目立たせたいところは
線を太らせて対処しています。

本文中はかなりの部分が手書き文字で埋め尽くされるので
他のフォントは最小限にしたかったのです。
実際にこれらの使い分けで出来上がりました。


2015年3月19日木曜日

『謎解きの英文法 使役』


久野暲・高見健一=著『謎解きの英文法 使役』(くろしお出版)

こちらは「謎解きの英文法」シリーズ第7弾。
ノンネイティブには理解がむずかしい英文法の謎を取り上げ
分かりやすく解説していくシリーズです。
今回のテーマは「使役表現」。

オビにあるのは、
どちらも有名曲のタイトルになった言葉。
「go」と「be」だけの違いだし、訳も似ていますが
実は意味は全く違います…
「ありのままで」は映画の流れに沿った意訳で
「あるがままに」はというと…
ということで詳しくは本文参照。

映画やアーティストの画像を使えるわけもなく
なんとかほのめかそうという作戦に。
「be」の方は最初は、横断歩道を1列で渡る4人の男の
シルエット(オリジナルで作りました)だったのですが
「それ『Let〜』じゃなくてアビーロードだし」という指摘で撃沈。
名前を出さずともひと目であのバンドだとわかると思ったのですが…
権利関係でめんどうになっても困るので、「be」は絵なしになりました。

make、let、have、get、causeなど
キーワードをカバーに散らしています。


同シリーズについてはこちらも→『謎解きの英文法 時の表現』
毎回きわどいところを狙ってます。

2015年3月17日火曜日

『大阪 地名の由来を歩く』


若一 光司=著『大阪 地名の由来を歩く』(KKベストセラーズ)

ワニ文庫の一冊です。

「黒×黄」「タイガース」「コテコテ」風味はやめてほしいとのオーダー。
画一的イメージはダメってことですね。

でもカバーは大阪の写真だろうということで
はじめは通天閣と大阪城の写真を組み合わせていたのですが
出版社の大阪の方にリサーチした結果、道頓堀になりました。

2014年10月に道頓堀グリコサインがリニューアルされ、
できればそれが入った写真を載せようと探したのですが
旧タイプのはあれども新タイプは適当な写真がなく…
(道頓堀川やえびす橋が写ってなかったり、色が悪かったり、夜だったり)
ちなみに新タイプはこちら→道頓堀グリコサイン(6代目)

結果、グリコサインは古くてもカバーとして映える写真を採用しました。

表1下方のスペースは「黒×黄」ではなく、うすいイエロー地に
オレンジのドットを敷きつめて、明るいイメージで。


他社ですが、以前、東京の地名の由来の本も装丁しました。

2015年3月16日月曜日

『宇垣一成と戦間期の日本政治』


高杉洋平=著『宇垣一成と戦間期の日本政治─デモクラシーと戦争の時代』(吉田書店)

宇垣一成とは、不勉強で知らなかったのですが、第一次世界大戦と第二次世界大戦の間に活躍した政治家で、何度か首相候補になることもあった人物だそうです。

カバー写真はアメリカの『LIFE』に載っているものから取ったもの。
撮影は土門拳。
古い写真であまり画質のよくないPDFしかなく、画像調整は必要だったが
凛とした雰囲気がはっきり伝わるのは、さすが土門拳というべきか。


写真を活かすときには、用紙はやっぱりヴァンヌーボ。
グロスニス加工で深みを与える。

オビはゴールド、カバーはゴールド風の色を使いました。
表紙と見返しはピンクで統一。

カバー:ヴァンヌーボVG/ホワイト
表 紙:サイタン/ピーチ
オ ビ:コート紙
見返し:サイタン/ピーチ
別丁扉:サイタン/アイボリー

2015年3月11日水曜日

『「グローバル人材」再考』



こちらの書籍は西山教行・平畑奈美=編著『「グローバル人材」再考』(くろしお出版)

グローバル人材にカギカッコがつけられていたり、再考とあるように
単純に海外で活躍するグローバルな人材について語られる本ではなく
日本語とのかかわりからとらえようというものです。

「グローバル」だからといって地球イメージじゃなく、
パンフレットみたいなカバーにしたくない…
むしろかっこ良かったり、硬派なイメージの方がいい、
でも重厚すぎるのは合わない…
と詳細なオーダー。

と思っていると、担当編集者がこんな写真もいいと
私が作ったカレンダーの写真を取り上げました。
(毎年自分の撮った写真でカレンダーを作り、知り合いや関係者にさしあげているのです)
空の広がりと奥行き感があるしビルのモチーフもシャープで、これもいいような気がしてきました。
ならばいっそのこのまま使っても?
権利関係もクリアだし。
(建築物に著作権はありません)

というか、なんといっても、自分の写真を
装丁に使用できるのは単純に嬉しい。
こういうことは初めてです。


カレンダーはこんな感じでした。


装丁ではトリミングしてしまいましたが、遠くに見える給水タンク。
今度はどこかで給水タンクの写真を使えれば…
ないか、そんなの。

カバー:ヴァンヌーボVG/スノーホワイト
表 紙:アヴィオン/ナチュラル
オ ビ:NTストライプ/しろねず
見返し:やよいカラー/ねずみ


2015年3月9日月曜日

『カルテ用語辞典 第5版(ポケット版)』


こちらは大井静雄=編集『カルテ用語辞典 第5版(ポケット版)』(照林社)

2006年刊行の第4版が改訂になり装丁を担当しました。
イメージを引き継ぎつつ、でも変化はつけたい…
というオーダー。
第4版はこんなかんじ→第4版

今回は私が担当することになり、かなり変化をつけたものから
あまり大きく変わらないものまで、いくつか提案しました。
採用されたのは、タイトル部分はほとんど前版を残し
イラスト部分をかなり変えたもの。
イラストはフリーのクリップアートをもとに調整して作成しました。

カバーを外した表紙にはPPコートがかけられています。
表紙は通常1色のことが多いのですが、
DIC429(グレー)+DIC57(イエロー)の2色。
この色使いは自分でもけっこう気に入っています。


2015年3月7日土曜日

『知らずに他人を傷つける人たち』


こちらは香山リカ=著『知らずに他人を傷つける人たち』(KKベストセラーズ)
2007年の新書が文庫版になり、装丁を担当しています。
新書は「モラル・ハラスメント」ということばが使われ出したころの刊行だったそうです。


「傷つく」というイメージから、ささくれたラインを。
サブタイトルまで入れるとかなり文字数が多いので
文字色で切り替えてメリハリをつけています。
決して軽くはないテーマですが
重く・どぎつくならないように色使いに注意しました。





2015年3月3日火曜日

『実家の片づけ 活かし方』


『実家の片づけ 活かし方』(日経BP社)
(日経ホームビルダー =編/千葉利宏 谷内信彦 村島正彦 桑原豊=著)
の装丁を担当しました。

出版社からこのように紹介されています。

「実家を受け継いでも使い道がなくて――。40歳代~60歳代には、そんな悩みを抱えている人が、たくさんいるのではないでしょうか。

田舎に帰省するのは盆と正月の年2回、
就職や就学で都会に出てきて、分譲マンションも買ってしまったし、
配偶者や子どもは実家のある地域とのつながりが希薄
という人であれば、なおさらです。
すっかり実家との距離ができてしまった人のために、
実家の活用を俯瞰的にとらえた書籍「実家の片づけ 活かし方」
を発行しました。 」


実は私も身につまされるテーマなのです。
そして担当編集者の方もそうでした。
同年代の地方出身者にはそういう人が多そうです。


2015年の相続税の改正もあるのか、「実家の片付け」の本というのは、けっこう出ています。
本書の装丁は明るく実用的な雰囲気に仕上げました。
タイトルはくっきり目に入るようにして、家の形のアイコンでアクセントつけています。

2015年3月1日日曜日

『英語教育の素朴な疑問』


こちらは昨年刊行された
柴田美紀・横田秀樹=著『英語教育の素朴な疑問』(くろしお出版)

英語教育に関わる人のための本です。
専門的な本ですが、あまりそれらしくなく、どちらかというと明るい感じで
という注文でした。

明るいスカイブルーを基調にイエローと黒の、特色3色でつくりました。
カバー、オビ両方を同じ色にして一緒に印刷しています。

スカイブルーにイエローと白の文字だと
表1はタイトルが大きいので読めますが、背がちょっと心配だったので、
背だけスミ文字にしたものと2パターン色校を出して、こちらに決定。


用紙はとくに凝らずにベーシックなものでしたが、
見返しをイエローにして、さらに明るい感じにしました。


渋谷の丸善ジュンク堂書店で面出しされているのを発見しました。