(装丁展のこれまで<6>からつづく)
オーパ・ギャラリーでの2回目の「見えないタイトル」装丁展は、白畠かおりさんと武中祐紀くんの協力で、なんとか開催にこぎつけた。
このときは、いままでにない展示にするためにずいぶん知恵を絞ったのだが、それにはそのときの状況が関係する。
(紙の専門商社の竹尾、箔の会社の村田金箔の協力で、
特殊紙と2種類の箔を贅沢に使って宮沢賢治作品のカバーを
制作/展示したもの。折原も参加)
・2009年:折原個展「ミステリ文庫殺人事件」展
・2009年:カヴァーノチカラ3[装画の力]展/SPA
(ひとりの装画家が描いた絵を3人の 装丁家が装丁にする
という展示。折原も参加)
さらには、2010年10月にSPAの「手塚治虫を装丁する展」、12月にはギャラリーまぁるによる「不思議の国のアリス」装丁展もあった。
つまり、カヴァーノチカラ的「装丁展」が、あれこれ出てきた時期といえる。
なので、09年の夏に予定している自分たちの展示では、なにかひと工夫しないと面白く見てもらえないだろう、という思いがあったのだ。
ちょっとひねりすぎかもしれないが、自分たちも楽しめたし良かったと思っている。
そして2年後に意外なところで、同じ発想の企画を見ることになった。
紀ノ国屋書店「ほんのまくら」フェアだ。
これは出だしの一文が書かれたカバーと、POPの推薦文をたよりに本を選んでもらうというフェア。一時、よく話題になったので覚えているひともいるかもしれない。
タイトルと著者名を隠して、他の情報から本を選ぶというアイデアは同じ。けれど、担当者が「見えないタイトル装丁展」を知っていたわけではないだろう。
内沼晋太郎氏の『本の未来をつくる仕事/仕事の未来をつくる本』(朝日新聞出版)という元ネタが同じだったのだ。(担当者のインタビューにあった)
別角度から光を当て、本との出会い方を変え、新たな本に手を伸ばしてもらおうという考え方は同じ。「出だしの一文」と「装丁」の違いだけだ。それにしても、まさか同じ発想の企画を見るとは思いもしなかった。
作業が間に合わず展示会場でせっせとバッジを手作りする
この展示も、前回に負けないほどの来場者があった。(3人展だから当然ではあるが)
白畠さんと武中くんは、SPAのものをのぞけば展示会が初めてということもあるのか、自分の選んだ本を自分で装丁するという喜びにあふれていて、力のこもった作品が多かった。 実際、作品の売上げや、しおりの人気度もそれを反映していた。
ふたりには翌々年からまた一緒に展示をしてもらうことになった。
そしてフジナミさんからの翌年のオファーも(やっぱり)あり、終わったとたんに、さあ来年の展示どうする? という状態に。もちろんアイデアはすぐに湧いてこない。
そしてまたもや考え続け、ひらめいたのは「星新一」。
それは翌年、星新一トリビュート装丁展として形になった。
(装丁展のこれまで<8>につづく)
白畠さんと武中くんは、SPAのものをのぞけば展示会が初めてということもあるのか、自分の選んだ本を自分で装丁するという喜びにあふれていて、力のこもった作品が多かった。 実際、作品の売上げや、しおりの人気度もそれを反映していた。
ふたりには翌々年からまた一緒に展示をしてもらうことになった。
そしてフジナミさんからの翌年のオファーも(やっぱり)あり、終わったとたんに、さあ来年の展示どうする? という状態に。もちろんアイデアはすぐに湧いてこない。
そしてまたもや考え続け、ひらめいたのは「星新一」。
それは翌年、星新一トリビュート装丁展として形になった。
(装丁展のこれまで<8>につづく)